意思決定を科学する:医療経済学の手法で考える政策立案・治療方針

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於 ボストン日本人研究者交流会
Author

小磯 聡

Published

April 19, 2025

2025年4月19日、ボストン日本人研究者交流会にて、意思決定科学をテーマに発表を行いました。

発表は三部構成です。1)八段階の分析プロセスに基づく意思決定科学の概論、2)その分析手法を日常のシンプルな選択に当てはめた例、3)国のスクリーニングガイドライン、ワクチン接種スケジュール、薬価設定にこの手法がどう活かされているかを示す事例紹介、という流れです。

意思決定科学とは、経済学・統計学・行動科学を統合し、効果・費用・リスクを明示的に比較することで、不確実性の下での意思決定を支援する分野です。直感だけに頼るのではなく、意思決定木モデル(decision tree)やマルコフモデルといったシミュレーションモデルを構築し、QALY(質調整生存年)などのアウトカムを推計したうえで、費用対効果分析によって選択肢を比較します。発表では、飛行機の座席クラス選びを題材に、聴衆自身に効用値を答えてもらう演習を交えながら段階的に解説し、同じロジックが米国予防医療専門委員会(USPSTF)、米国CDCのACIP(予防接種諮問委員会)、そして日本の薬価制度における意思決定の根底にもあることを示しました。最後に、前提が結果を大きく左右してしまう場合、効用の測定が難しい場合、そしてそもそも経済効率性が適切な尺度ではない場合など、この手法が実際に直面する限界にも触れました。

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